エンタメが企業と組むのは不純なのか? 特筆すべきレッドブルの試み。レジー @regista13 の「スポーツサイトで音楽の話をしよう」

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Ibrahim-Asads-PHotography-e1449547150787Photo:Ibrahim Asad’s PHotography

「スポーツマーケティングナレッジ」をご覧の皆さま、お初にお目にかかります。音楽ブログ「レジーのブログ」を運営しつつ、音楽情報サイトや音楽雑誌にも寄稿しておりますレジーと申します。普段は会社員をやっております。スポーツは全般好きですが、特にサッカー、その中でもJリーグが好きで柏レイソルを長年追いかけております。

このたび、本サイトで「音楽(主に日本のポップス)」に関するコラムを担当することになりました。「スポーツがテーマのサイトでなぜ音楽?」という話もあるかと思いますが、プロスポーツもポップミュージックも「エンターテイメント」という括りで考えれば同じ土俵にあります。音楽業界における様々な取り組みをピックアップしながら、スポーツの世界において参考になる部分、もしくはスポーツと音楽の共通点などを探っていければと思います。

これから継続的にこちらで文章を書かせていただく予定ですが、今現在自分の中で決めているのは「楽曲の話は一切しない」ということです。あくまでも「スポーツ“マーケティング”ナレッジ」というサイトですので、そのコンセプトに則って「エンターテイメントビジネスとしての音楽産業」という観点から話題を提供したいと思っております。

ちなみに、ここで取り扱う「音楽を産業として捉えて・・・」という類の話、僕自身はとても好きなのですが、音楽業界に関わっている人の間では(リスナーも含めて)あまり受けが良くない印象がありますね。この手の態度は「音楽はお金じゃない」という思考と密接に関わっているように思いますが、僕としては「音楽はお金で測れない価値で溢れているけど、音楽文化を成り立たせるためにはお金が必要な瞬間もかなりたくさんある」「そのお金をどう得るかというのも音楽そのものと同様に重要であり、さらに言えば楽曲作りと同等にクリエイティブな作業である」というスタンスです。そんなわけで、今回は早速その「お金」にまつわる話をできればと思っております。

■「投資」のためのお金をどこから得るか

いわゆる「ビジネス」というものの基本的な構造は、「何かしらの資源を投下して、そこからリターンを得る」というものです。音楽ビジネスで言えば、たとえばお金や人的資本を投入して作品を生み出し、それを売ることで収益を得るという流れがあります。そしてその収益がまた作品制作に投入されて・・・というようにこのサイクルは続いていきます。

こう考えると、音楽業界はこのサイクルがどんどん小さくなっていっているというのがわかります。音楽パッケージの売り上げはピークの1998年から半分以下に低下し(1998年:6,074億円→2014年:2,541億円)、配信などでその差分は補えていません。拡大するライブ市場を足し合わせても、全体ではダウントレンドです。リターンが小さくなり、投資できるバジェットも小さくなり、結果としてさらにリターンが小さくなり、それによって・・・という完全なる悪循環。

音楽ファンとしては「お金をかけなくてもいい作品は作れる」という気概を見せてほしい!という気持ちもあるのですが、マクロで見れば今の流れが続くと音楽業界は本当に立ちいかなくなる危険性があり、そうなってしまえば本来世に出るべき才能のあるアーティストがどんどん埋もれていってしまうという残念な状況になってしまいます。じゃあどうしたらいいかと言えば「このサイクルに投入されるお金を増やす」ということしかないのですが、これからCDの売り上げが劇的に上がるとは考えづらいですし、そもそもインターネットの存在によって音楽ユーザー一人あたりが支払う金額はますます低下していく可能性が高いです。

もはや打つ手なしか・・・という感じではありますが、ここで少し視点を変えてみたいと思います。ビジネスを考えるうえで「B to C(Business-to-consumer)」「B to B(Business-to-business)」という切り口がありますが、ここまで述べてきた「音楽ユーザーからお金をとる」というのは「B to C」の考え方です。では「B to B」、つまり「企業からお金をとる」という発想はないのでしょうか。この考え方は、スポーツにおいては「企業スポンサー」という形で日常的に行なわれているものです。また、音楽の世界においても遡れば「宮廷音楽とパトロン」というような形式で存在していたものであるとも言えます。

お金を出す企業側に「何かしらの資源を投下して、そこからリターンを得る」という前述したフレームを当てはめると、「音楽にお金を投下することで何かしらのリターンがある」ということになれば財布のひもを緩めやすくなるはずです。企業が音楽へ投資する際に、リターンとして考えられるのは「ポップミュージックが持ちうる様々なイメージの獲得」でしょうか。若さ、活力、先進性、反骨心・・・こういった情緒的なイメージは、製品の機能だけでは差別化が難しい昨今の競争環境において、製品(もしくは企業)に対する好意や共感につながる重要な価値となります。

音楽というエンターテイメントは、企業にとって「好意や共感につながるイメージを獲得できる“利回りの良い”投資先」としてのポテンシャルを秘めていると言えると思います。そして、そんなトライを先んじて行なっている企業として、レッドブル社が挙げられます。

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