「Jリーグの動員増は、2ステージ制反対派の敗北を意味する」村上アシシ( @4JPN)のお前にアシシスト!【前編】

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■2ステージ反対の人も結局は来場した

――僕もTwitterで何度か書いたんですけど、2ステージ制にしたのはお金の問題なんですよ。で、それをそのまま書かなくても、うまい伝え方はあったと思います。一部の声の大きな人たちだけかもしれないですけど、「お金の問題です」ってのが全く伝わってないのはコミュニケーションとしては失敗だと思います

アシシ そこの話をすり替えちゃったことがもろバレで、そこは墓穴をほっちゃったなと。で、もう一つの新規顧客開拓という部分はポジティブな理由です。ただし、それはJリーグ全体にとってはポジティブなんだけど、既存顧客にとっては関係ないというかむしろネガティブなんですよね。既存顧客からすると、2ステージ制は改悪でしかない。

マーケティングの話で言うとパイの奪い合いとか言いますけど、神奈川県にはいまJクラブが6クラブ(横浜FM、川崎F、湘南、横浜FC、SC相模原、YSCC横浜)あります。そこで神奈川県民の奪いあいが起きますと。それとはまた別に、パイの厚みを増やすのが既存顧客の満足度向上だったり、パイの面積を増やすのが新規顧客開拓に喩えられたりするわけです。で、今回の2ステージ制とチャンピオンシップの導入ってのは、パイの面積を増やす施策なわけで、厚みを増やすためではないんです。

要はね、既存顧客はクラブに一生の愛を誓ってるわけだから、クラブがよほど変なことをしない限りはどんなにリーグ全体のルールを改悪しようと君たち金落としてくれるんでしょ? ってJリーグ本体は腹の中で思ってるはずなんです。絶対表ではそんなこと言わないけど。リーグのことをバンバン嫌ってくれていい、だけどあなたたちは最終的にお金を落としますよね? と。

――まだ2015年の観客層の分析は出てませんが、過去の記録を観てもJリーグはリピーターが非常に多いわけで、2ステージ制になったからといってリピーターが急減するとは考えにくいですね。で、実際に2015年はむしろ動員増という結果になりました。

アシシ パイの厚みを増やすところはクラブに任せていて、Jリーグはパイの面積を増やすことに専念する。そういう作業の切り分けが、表では言わないけどやっていると僕は推測しています。パイの面積を増やすために、ホリエモンとかを呼んでいるんです。2ステージ制に反対してるコアサポに対して、「あなたたちは相手にしてないの、既存顧客向けの施策じゃないからそもそも!」ってのが透けて見える。だけど、それを言っちゃうと炎上するから言わない(笑)。

既存顧客は「村井がー、この野郎」みたいな話をよくツイッターでハッシュタグつけて愚痴ってますけど、僕が普段仕事してるコンサルティング業界でもこれはよくある話なんですよ。当然、改革をするときにはそこにすでにいる人達には痛みでしかない。コンサルは変革請負人みたいなもんなんで、クライアントの現場の人にはよく嫌われます。でも痛みを乗り越えて組織全体が利益を享受するために、嫌われ役も買ってでるんです。そういう意味で、2ステージ制も痛みを伴うけど、結果的に「リーグ戦の観客が増えた」という成果を見せつけて、改革を無理矢理推し進めようとする意図が透けて見えますよね。

で、僕は今回の件では既存顧客側だから。「そこのロジックおかしいよ」と突っ込みたいところはあって、例えばJ1からJ3まで足した全体の動員実数が増えるのは当然。だって昨季からJ3に山口が加わって、試合数そのものが増えてるんだから。絶対数は当然増える。だけど、今年は動員の平均でも増えた。これは正直意外だった。けど、いろいろな要素を見ていくと、J1で雨が降った試合が昨季から半減したとか、明治安田生命さんが計12万人動員したとか、その辺を見ていくと動員平均が増えたのは2ステージ制導入のおかげ、というロジックは無理があると思ってます。でも所詮そんな要因分析が詳細にされるとは思わないんで、エイヤで2ステージ制成功!とJリーグは結論付けると思います。

――ただ、僕が思っているのは「2ステージ制にしたのにお客さん減らないんだ!」ってことなんですよ。浦和のゴール裏でたくさん横断幕が掲げられたことを筆頭に、2ステージ制についてはかなりの既存サポーターが否定的でした。だから、導入されたことで観客は減るものだと思ってた。ところが、いろいろ要因あるにせよトータルは増加した。

観客層の分析がまだですけど、仮に既存顧客が大きく減ったならそのぶん新規顧客がそれを補って余りあるほど増えたってことで施策導入の目的は達成した。既存が大きく減ってない、トントンなら新規が多少増えた。どのみち、2ステージ制は失敗ではないという程度の結論は導き出せる状況かなと。

アシシ 2ステージ制に反対していた一番のクラブは浦和ですけど、全体の動員は2014年より5万人ぐらい、1試合平均でも3,000人増えた。2ステージ制になったから行かない、って人たちはTwitterで何人も見たけど、その減った人たちを補うぐらいの人が来たわけです。なんだよ、反対反対って言ってても結局来るんじゃん! と。

――しかも浦和の場合、ファーストステージは優勝したもののセカンドステージは取れなくて、目標にしていた年間優勝も逃した。1シーズン制ならもうチャンスはなかったけど、CSのレギュレーションによって完全優勝するチャンスを再び得られた。CSに一番反対していたクラブが、その制度である意味救済される皮肉な状況になってしまいました

アシシ しかもCS準決勝で負けてしまったから、救済措置を得ながらさらにずっこけてしまい、天皇杯の結果如何では変わる可能性あるけど、現時点でACLに関してはプレーオフに回るという悲劇。でもまあ、なにしろリーグ戦を終えて「あ、既存顧客は来るじゃん」という結果がでてしまった以上、これは僕ら既存顧客の敗北と言っていいんじゃないかと。

後編へ続く

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