「チャンピオンシップ導入、ぶっちゃけ既存顧客は眼中にない」 村上アシシ( @4JPN)のお前にアシシスト!【後編】

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>>【前編】「Jリーグの動員増は、2ステージ制反対派の敗北を意味する」村上アシシ( @4JPN)のお前にアシシスト!>>

アシシ 後編に入る前に、先日ヤフトピトップを飾ったJリーグの炎上ネタについて。11月28日、あるツイッターアカウントがガンバ大阪のパトリックに対して人種差別発言をして、大炎上した事件があったじゃないですか。あれで、ちょっと思ったのが報道のクオリティね。「浦和レッズサポを名乗る」という書き方をした媒体と、「浦和レッズサポと見られる」という書き方をした媒体がありました。この2つは、全然違いますよね。

――前者は「当事者がどう名乗っているか」という客観的な記述、後者は「我々は彼をそうみなす」という宣言。似ているようで全く異なりますね。

アシシ それについてこういうツイートをしたんだけど、

最終的には埼玉の高校生が親と共に名乗り出て謝罪しましたが、この時点ではまだこのアカウントが何者なのかわからない状態だった。で、NHKも朝日新聞も「名乗る」と報道したんだけど、フットボールチャンネルは「見られる」と描写して、主観が入ったんだよね。自称・浦和サポと書けば、なりすましかもしれないという含みをもたせられる。「見られる」と判断するのは軽率だし、ヤフトピトップ取るために編集が赤入れ作業サボって、スピードを重視した背景がみてとれる。メディア本体のリテラシーを疑いましたよ。

――僕もメディア側の人間なので、難しい問題ですね。まあ、本題に戻りましょう。(笑)。

■「決戦」は日本人受けする

アシシ 2ステージ制を巡る争いは反対のシュプレヒコールがガンガン挙がってたので、反対票が多くなるかと思いきや、結果的に動員平均が逆に増えた。選挙をやって開票してみたら、賛成票のほうが多くて「はい、可決!」みたいな(笑)。だから既存顧客は今後どう文句言おうが、2ステージ制は来期以降も成功事例として語られていくことはほぼ決まった。

――そうですね。

アシシ で、CSの結果についてどういう指標を見るかというと、僕は観客動員数はどうでもいいと思ってます。Jリーグはどう思ってるか知らないけど。地上波ゴールデンタイムで新規顧客開拓するための施策であり、合わせ技でお金を取ってくるものだから。Jリーグのコンテンツをもう一度地上波ゴールデンタイムに復活させ、かつ今回はホームアンドアウェーだから一発勝負じゃ厳密にはないけど、決勝戦があって「ここで負けたら終わり」と明暗がくっきり分かれる試合を12月2日・5日と決めてやるのは、新規顧客開拓と放映権料獲得の2つの視点でいうと、僕はすごく意義があると思う。

――同感です。今まで1ステージ制の何が問題かというと、いつ優勝チームが決まるかハッキリわからなかったこと。「必ずここで優勝チームが決まる」「明暗のコントラストがハッキリ出る」、もっと言うと「残酷な敗者が浮き彫りになる」。そこが、テレビ的な価値が大きい。

アシシ それはメディア受け、スポンサーを取るときにすごく重要です。リーグ戦34試合やるのって、ミーハーな人達にとっては「だって34分の1でしょ?」って話になるわけです。決勝トーナメントの何がいいって、一発90分ですべてが決まること。負けたほうがうなだれて、勝ったほうが超喜んでいる。サッカー高校選手権の決勝はね、18歳のまだ無名な子たちが高視聴率を取るんです。ああいう「決戦」が人気を博するのは、日本人の特性だと思うんですよ。

――帝政ローマ時代にもグラディエーターがいて、剣闘士同士や猛獣と戦わせてそれを見世物にしていた。負けた側は、残酷に死ぬ。観客は安全な立場から、その残酷な見世物を享受する。それは一発勝負が受ける心理と通底しているのかなと思います

アシシ そういう生きるか死ぬかの決戦がちゃんと日付が決まって、地上波に復活させたっていうのは新規顧客開拓においては一番のネタになるし、よくやったと思ってます。

――地上波ゴールデンを確約させて、放映権料は報道されているより少ないにしてももらって、とJリーグ側はよくやってると思いますね。

アシシ 高校選手権がなぜあんなに育ったか、同レベルの高円宮杯が全然取り上げられないのに、なぜこれほどメディア露出が違うかというと日テレが決勝トーナメントの魅力を引き立てて、長年かけて育てたわけです。

スポーツビジネスとして、箱根駅伝とか甲子園と一緒で、スポンサーを集めてストーリーを作って一発勝負にした。日本ってドイツとかよりは地方の帰属意識は薄いと思うけど、それでも自分の出身の都道府県や学校を応援する傾向にある。そういった帰属意識を駆り立てて、学生同士の競技でも「決戦」を演出することで、甲子園や国立競技場が満員になって、桁違いの視聴率を取るんです。要は、こういったアマチュアスポーツにプロのJリーグは負けてるわけです。

――レギュラーシーズンに関しては間違いなく負けていますね。優勝決定戦、ナビスコカップ決勝、天皇杯決勝ぐらいしかない。

アシシ そういう意味で言うと、日本人の特性に合わせて100かゼロかが決まる場を設けるというのは起爆剤として必要です。リーグ戦34試合をずっと行く人たちというのは日本人全体で言うと非常に少数でしかない。

――Jリーグのユニークユーザーは40万人とも言われてますから、日本人全体でいうとまだまだ約0.3%でしかないわけですね。

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